私が「感動カーテン」というサービスを始めたことには、もうひとつ別の理由があります。
私はネットショップを始める前、カーテン縫製の職人をしておりました。ハウスメーカーの仕事をしている内装屋さんから、毎日のようにカーテン縫製用の生地が送られてきます。
さすがにリビングや寝室などメインのカーテンは様々な生地で決められていますが、用途が決まっていない洋室などはいつも同じ生地のことが多かったのです。
たぶんインテリアコーディネーターさんはあらかじめ提案する生地を決めておいて、お客様もとくにこだわりがなければその中から選ばせていたんでしょうね。
それはお互いが納得しての決定事項ですから職人の私がどうこう言う筋合いではないですが、ただ選んだ生地があまりにも仕上がりに癖のある生地だったので残念だなと思ったわけです。
いくら予算の都合があるとしても、生地の特性を知ったプロとしての選択眼があれば、こんな生地を選ばず同程度の予算でもっと喜ばれる提案ができたはず。
カーテンを縫いながらも、自分だったらこっちの生地を提案するのに、と愚痴っていました。
そのような縫製職人を経験した後にオーダーカーテンのネットショップを始めたわけですが、私はインターネットという仮想の世界に「カーテン専門店」というお店を作ろうと考えました。
近所にあるカーテン専門店をイメージしながら、店内にはどのようなカーテン陳列が必要なのか、商談をが始まればどのような機能が必要になってくるのかをイメージしてお店作りを目指したのです。
お店にカーテンを探しに来るお客様のご希望のイメージは多種多様なので、データベースという仕組みを取り入れて1万点の品揃えを実現いたしました。
1万点のカーテンデータベースをネットで無料公開したのは、日本で弊社が初めての会社になります。
リアルなら生地見本を持ってお宅に訪問するところ、ネットなので全国無料で送付するサービスを始めました。楽天市場などが誕生する以前の話ですので、生地見本送付も弊社が業界初のサービス開始となります。
こうしてイメージどおりの生地が見つかれば、つぎは「いくらぐらいするのだろう?」と予算が気になります。オーダーカーテンはどうしても、『高い』というイメージがありますので。
オーダーカーテンの相場について、こんなエピソードがあります。ネットショップを始めた頃、たまたまWEBで弊社の記事を見つけました。
『カーテンの値段なんて、高級寿司屋の時価みたいなもの。ひとの足下を見て値段を決める、怪しげな商売。』
今までカーテン販売の経験がない私が、非常に驚いたのは言うまでもありません。夢と希望を抱いてインターネットにお店を開き、さぁこれから頑張ろう!って時に、とんでもない現実を見せつけられたのです。
確かにメーカーの定価があっても、お店によってずいぶん割引率が違うので、お店に対して不信感がありました。
当時はチラシなどでメーカー割引率を公表しようものなら、同業者から強いクレームがメーカーに入ったと聞きます。
それだけ実勢販売価格については、秘密!秘密!秘密!という暗黙のルールがあったようです。
ただでさえネット通販の信用がなかなか認知されない時代でしたから、販売価格が不透明というのは死活問題でした。そのとき私は決意したんですね、周囲から何を言われようとも業界の悪しき慣習を打ち破ろうと。
さっそく自動見積もりシステムの開発に着手して公開したところ、皆様からは大きな反響をいただきました。